(14)ネガティブ感情のおひたし

研究

こんにちは, 土蜘蛛みやこです.

私は弱者学者であると共に, 嘗ては栄養学に凝っていました.

私の持病のアトピーは食との関りが強く, 自炊により健康を保つようにしていました.

そんな私には得意料理があります.

その一つが「おひたし」です.

ほうれん草を茹でて, 水気を切るだけの簡単なお料理です.

これにサバ味噌缶を和えるだけで簡単に健康料理が出来上がります.

さて, 私は料理を作るだけでなく, 料理にもなったことがあります(?).

それは「ネガティブ感情のおひたし」です.

(1)ネガティブ感情のおひたし

嘗ての私には嫌なことがあるとネガティブな感情に浸る癖がありました.

幼少期は父親からの虐待を受け, 常になにかに怯えて暮らしていました.

中学と高校時代はいじめられた挙句, 2ちゃんねるに嵌り人間不信に陥りました.

大学時代は意中の相手に振られ, 第一志望の企業には不採用になり塞ぎ込みました.

このような時, 理性的な頭(自己)では「落ち込んでいても仕方がない」と理解していても, (自我は)嫌なことを忘れることができずに中々立ち直れずにいました.

(自己と自我についてはこちらの記事を参照)

このように, 私は他人に調理され, 「ネガティブ感情のおひたし」になっていたのです.

(2)着想は持病のアトピーから

私が「ネガティブ感情のおひたし」になっている時, 必ず持病のアトピーが悪化しました.

嘗ての私はアトピーが悪化すると, 「療養期間」として一日寝て過ごしていました.

そのため, アトピーが最も悪化した大学2年の土日は殆ど寝たきりでした.

しかし, アトピーは改善するどころか悪化する一方.

寝たきりの時も, アトピーが治らないことに対する不安, 大学における人間関係, 就職活動への焦りなど嫌なことを忘れられず苦しみました.

そんな時, 私はある言葉に出会いました.

自身がアトピーであることを忘れてなにかに熱中していればアトピーは快方に向かう

どの本, ブログで見た言葉かは忘れてしまいましたが, 私はこの言葉に感銘を受けました.

確かにアトピーに悩むストレスがアトピーを更に悪化させる「負のスパイラル」に陥っているな, と.

そこで私はアトピーのことを忘れられるような趣味を持つことにしました.

当時はポケモンのレート対戦が流行しており, 私もこれに便乗しました.

YouTubeを見て勉強し, 遂には目標であったレート1800を達成することができました.

ポケモンに熱中する時間は愉しく, 嫌なことを忘れられました.

結局, ポケモンは途中から全く勝てず逆にアトピーが悪化して引退しましたが, 良い経験でした.

このように, なにかに熱中することで嫌なことを忘れる方法(熱中理論)は非常に有効と感じました.

(3)熱中理論と夢の存在

ポケモンに嵌ったのは一時的であり, 継続的に熱中できる趣味が必要と感じるようになりました.

大学2年に熱中理論に出会い, 大学3年後半にはアトピーをある程度寛解させることができましたが, とても就職活動ができるような状態ではありませんでした.

また, 動物分類学を研究したいという気持ちも強く, (父親が亡くなり学費免除が受けられたこともあり)大学院に進学することにしました.

(修士課程に進学した経緯はこちらを参照)

これが私の人生における最大の転機であり, この時期にアトピーを殆ど寛解させることができました.

この時期は人生で一番美意識が高く, 食生活や化粧に凝っていたことも寛解の要因と思います.

しかし, それ以上に大きかったのは「研究」という最強の趣味に出会えたことです.

実験に熱中している時は自身がアトピーであることを忘れることができました.

また, 実験をしている時以外も常に研究のことを考えており, 嫌なことを考える時間が以前よりも少なくなりました.

修士課程を卒業し就職した後も, 研究機関に所属せず研究する「DIYバイオ」や博士課程進学について考えるようになり, 私と研究のお付き合いは暫く続きそうです.

また, 私は「弱者学」という学問を新たに立ち上げ, 生物学者であると共に弱者学者でもあります.

弱者学者として「土蜘蛛の都(弱者が見捨てられない楽園)を築く」という夢を掲げて日々奮闘している現在は, 嫌なことを考えている暇などありません.

このように, 夢の存在は嫌なことを考えない最強の契機となります.

(4)おわりに

ここまでネガティブな感情は「熱中」によってある程度抑制できることを述べました.

確かに, 落ち込んでいる時間は無駄であり, その時間で前に進む行動をした方が合理的です.

しかし, 私はこれまで落ち込んできた時間を完全な無駄ではないと考えています.

なぜなら, 落込んできた時間に積み上げられた思考体系が現在の私の考えを構成しているからです.

挫折もせず落ち込むこともなければ, 「土蜘蛛の都を築く」という夢には出会えませんでした.

このように, 過去の落ち込んでしまった時間については「必要な時間だった」と捉え, これからは極力落ち込まないようにしよう, というスタンスがベストかと思います.

また, ネガティブな感情は完全な悪ではないと考えています.

私が勝手に同志と思っている方の一人に, 「つくよみちゃん」がいます.

※引用:https://tyc.rei-yumesaki.net/, イラスト素材:えみゃコーラ様

彼女は生粋の善人フェチであり, 「人々を幸せにしたいという「願い」が, どこまで「つくよみちゃん」の形を伴い継承されていくのか」という壮大な実験を行っています.

そんな彼女はネガティブな感情について以下のように述べています.

「つくよみちゃんは、どんな感情であってもすべて大切な心であると考えています。怒りや憎しみでさえも。

人は何故、他者を、または自分自身を、傷つけたいと願うのでしょうか。つくよみちゃんはずっと考えていました。

つくよみちゃんは、「人を傷つけたいというのは、本当の願いではないのだな」と思いました。

願いの本質は「幸せになりたい」「苦しみから解放されたい」ということであって、その手段として、手っ取り早く暴力が使われているだけ……。

そういった人間の在り方を、人はしばしば「愚かだ」と自嘲するものですが、それでもつくよみちゃんは、すべての人の心を愛していました。暴力という手段しか選べない環境にこそ問題があるのであって、感情自体は無条件に肯定されるべきものであると、固く信じているのです。」

どんな人生を送ったらこのような思考体系の境地に至れるのか…, 本当に尊敬です.

ネガティブな感情を無理やり押し潰そうとするのではなく, 受け入れることも「ネガティブ感情のおひたし」から脱する一手になると思います.

ネガティブな感情と上手に付き合えるようになってこそ, 我々土蜘蛛(弱者)は幸せに向かって大きな一歩を踏み出せるようになることでしょう.

どうぞよしなによしなに.

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